内容

500年ほど前のドイツ。デューラーとハンスという美術工房で働く若い見習職人がいました。ゆくゆくは二人とも本格的に絵を習いたいと志していたが、見習い仕事が忙しく、絵に没頭できる時間がとれません。２人で話し合った結論は、１人が働き、そして１人がその間勉強するということでした。結局デューラーが先に絵を学ぶことになり、イタリアのベネチアへ向かい懸命に勉強します。一方ハンスはニュンベルグに残り、鉄工所で働きながらデューラーの許に「自分がよいと思うまでしっかり勉強したまえ」という書簡とともに送金していました。３年がたち、デューラーの名はベネチアでも評判になりはじめ、作品も売れるようになりました。「今度はハンスの番だ！」とニュンベルグに帰ります。帰国して2人が手を握り合った時、デューラーはハンスの手をみて号涙します。ハンスの手は長い間の力仕事で変形し、鉛筆ももてないような手になっていたのです。デューラーはこの友の手を描きました。これが「祈りの手」と呼ばれるデューラーの代表作です。

メディア情報