内容

自然を愛し、自然が与えてくれる安らぎをたくさんの人に味わって欲しいと、奥山辰夫は妻と二人で人里離れた山奥で温泉旅館を経営している。しかし、その旅館が今大ピンチを迎えているのです。バス路線がストップして、ただでさえ少ない客が跡絶えてしまったのです。その陰には旅館を潰して付近一帯の、高級リゾート化を目論む一派の暗躍があるのです。そんな時奥山は林道を横断しようとして車に跳ねられた狸を助けたことから物語は急展開します。潰れかけた旅館に突然現れた新入りの従業員ーー。今は亡き奥山夫妻の娘にそっくりの従業員ーー。奥山夫妻と開発一派の戦いは、証誠寺の狸囃しに乗って、面白く、おかしく、そして悲しく展開します。私たち人間の世界では“恩返えし”という言葉は死後になってしまったのでしょうか？お互いがお互いを思いやる心が“恩返えし”なのではないでしょうか。

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