【現地レポート】岡山市立上道公民館「子どもと防災」(H30.11.19)

2018年12月5日更新

御休小学校「子どもと防災」講座で、公民館職員が出張授業!

「地域の子どもに向けて防災教育を行うことが、大人への防災意識向上につながりはしないか。まずは実践から!」
という渡邉館長の思いで始まった「子どもと防災」講座も、今年で5年目。

この日は、御休小学校5年生への取組を取材しました。

ところが、児童に向けてお話しするのは公民館職員。担任の先生ではありません。
活動ごとに公民館職員の分担が決まっています。
しかもみなさん、防災士の資格をもっているんです!!意識が高いです!!

担任の先生は、児童のそばに寄り添ったり、全体で自分の経験を話したりする役割。
きちんと役割分担ができているのです。

この日のために、事前に公民館と学校で授業案を共有しています。
その時間は、先生の都合のよい放課後。公民館職員が学校へ出向き、学校のニーズを聞き、授業を組み立てる丁寧さ。

時間と手間はかかりますが、その分、児童に伝わるものが大きいです。

出張授業で、普段見せない児童の様子が見られることは、学校にとってもプラスになるようです。

 

前半は「災害で水道が止まった時に、家でできることを考えよう」

前半は個人で考え、グループで意見をまとめる学習です。

コマ割のストーリーを見て、水が出なくなったときの対応について個人で考え、グループで出た意見をまとめました。

「でも、水を節約する具体的な方法はよく知らない…。」そこで防災士である公民館職員の出番です!

水を使わなくても衛生的に道具が使える具体策について、いくつかお話しがありました。

ワークシートからは「毎日、思った以上に水を使っていることが分かった。」「今日習ったことを家で伝えたい。」等の感想がありました。

 

後半は「段ボールトイレをつくろう」

前半の座学から一転、後半はものづくりです。

でも、ただつくるだけではありません。「なぜ、段ボールトイレが必要なのか。」そこから考えます。

ということで、製作スタート!グループで協力してつくっていきます。 

今回は時間も限られているということで、切るところが分かるようにマジックが引いてあります。
公民館へ職場体験に訪れた中学生が、ここまでの準備に関わってくれました。中学校のお兄さん・お姉さん、ありがとう!

みんな興味をもって、どんどん組み立てていきます。館長さんも関わります。

黒いビニール袋を中に入れて、便座シートをのせたら完成です!

 

「頑丈ですごい。」「多い人数じゃないとつくれない。」
「トイレが使えなくなっても、段ボールでできる方法があるのがすごい!」という児童の感想がありました。

 

講座を続けることの効果と課題

幼稚園・小学校・中学校と、それぞれの段階に応じて防災教育に取り組むことで、子どもの考え方や意識に変化が見られているそうです。

どの公民館も、講座を立ち上げる大変さ、続けることの難しさを感じている中、
「ここまで続けることで、小学生や中学生が公民館を身近に感じ始めた。」「学校が公民館の考えに理解を示すようになり、連携しやすくなった。」
等のメリットが生まれてきたと館長さんは話します。

「実施してすぐに効果が出るとは限らない。続けることが大切。だから、まずは実践から。」
講座を立案・運営していくヒントをいただいた気がしました。

一方で、職員の異動による講座の継承が課題であるとも話され、
講座をPDCAサイクルで効果を上げること、職員間の共通理解の大切さを感じました。

 

7月の豪雨災害で…

今年の7月に起こった西日本豪雨災害で、上道公民館の地域の3分の1の世帯が床上・床下浸水の被害に遭い、
公民館は避難所や災害ボランティアセンターとしての役割を担いました。

避難所が開設された期間中、ボランティアの方々にパンを焼き、コーヒーなど提供いただいたクラブ、
被災したクラブ生に声かけをしたり、差し入れをしたりした数多くのクラブ等々があったそうです。

それはまさに共助であり、人と人とのつながりの大切さを感じました。

今後、この地域の防災意識の変容に注目です。

(※上道公民館の取組は、平成30年11月号の月刊公民館に掲載されています。)

スマートフォン版パソコン版の表示に変更する