【現地レポート】北房公民館「まに大附属ふるさと研究所」(R元.11.29)

2019年12月11日更新

古代の風に吹かれて~“西の明日香村”北房~

 

真庭市北房地域には、古墳時代に築かれた古墳が約250基も点在しています。現地周辺は、これまで何度も車で行き来したことのある地域でしたが、古墳の存在を全く知りませんでした。
少子高齢化・人口減少等から歴史・文化遺産の未来への継承が真庭市でも危惧されており、歴史・文化遺産の保護・活用の担い手となる人材や団体の育成が課題となっているそうです。
そこで、真庭市が進める“郷育(きょういく)”の一環として、北房地域に息づく貴重な文化遺産を、地域の未来へ繋いでいくため、住民自らが文化遺産を調べ、活用方法を学び、その学習の成果を地域の子どもたちに伝えていくことを目指して、この講座がスタートしました。

  

講座は大きく分けて2つの内容に取り組んでいます

1つは、文化遺産の活用方法を学ぶ内容です。「北房ふるさとセンター(資料館)」をリニューアルさせるため、展示に必要なストーリーだてや、資料の方法などを、グループでのワークショップも交えて学んだそうです。今後、皆さんで考案したストーリーに沿って、展示コーナーのリニューアルを来年3月までに自分たちの手で行う計画だそうです。
そして、もう1つが「荒木山古墳」の学術調査です。

 

“自分たちの”歴史・文化遺産と思えるように

 


調査依頼をした同志社大学准教授で同市政策アドバイザーでもある津村宏臣先生から、地元の歴史遺産が“自分たちのもの”という意識をもってもらえるようにと、住民参加型の講座とし一緒に調査することを提案されたそうです。
海外の遺跡発掘調査では、住民たちが調査に関わっていることが多くあるそうですが、日本でよく見かける調査は専門家や行政職員の人たちによるものです。そうすることで、住民と歴史遺産との距離が遠くなってしまっていると津村准教授は感じ、このような提案をされたそうです。「歴史・文化遺産を核にした人づくり・地域づくりをしたい。」ともおっしゃっていました。

 

受講生自らの手で・・・

 

この「荒木山古墳」は東西に2つの古墳があり、昨年の講座で東塚古墳を、今年は西塚古墳を講座受講生(大楽生と呼ぶそうです)が大学の先生や学生と一緒に調査しています。
2年目の受講生は、測量でよく見かける機械も手慣れた様子で操作し調査を進められていました。
昨年の調査では、古墳の中に石室が残っているかもしれないという結果が出たそうです。
その時の調査に関わった受講生は、「歴史的な発見になるかもしれないと思うと、わくわくした。」と話してくださいました。

 

そのわくわくを、子どもたちに

このような素晴らしい歴史・文化遺産が地元にあることを子どもたちにも伝えたいという思いから、小学校への出前授業で現地見学をしたり、出土品の説明をしたりするそうです。ちょうど、私が訪問した翌週にも、調査成果を基に小学校へ出前授業をされるとのことでした。学んだことを活動へと循環させる、社会教育に求められている姿そのものだと感じました。
北房公民館の奥田さんは、「県内外に真庭の文化財の素晴らしさを発信していきたい。」「インバウンドで来た観光客に、中学生が英語で紹介できたらいいな。」と熱くおっしゃっていました。

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