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軽便鉄道の停車場の近くに、猫の歴史と地理を調べる猫第六事務所があ
りました。そこでは、黒猫の事務長、一番書記の白猫、二番書記の虎
猫、三番書記の三毛猫、四番書記のかま猫が働いていました。今日もぜ
いたく猫が質問にやってきました。「氷河ねずみを喰いにベーリング地
方へ行きたいんだが」。しかし、一番書記も二番書記も三番書記もその
質問に答えられず、四番書記のかま猫だけが答えられました。三匹の先
輩たちはかま猫が気に入りません。そこに、かま猫の友達の山猫が現れ
ました。ある日のこと、出勤時間になってもかま猫がやってきません。
心配する様子もない三匹に事務長さんは「君たちはかま猫君につらくあ
たりすぎじゃないかね。かま猫君は気の毒なんだよ」とかま猫の体が汚
れてしまっている理由を話しました。実はかま猫は風邪をこじらせ、足
がはれて動けなかったのです。山猫は心配してやってきたのですが、か
ま猫とけんかをしてしまいます。「あんな事務所はやめてしまえ。もし
俺に虎か獅子の力でもあれば、あんな事務所たたきつぶしてやるのに」。
山猫は一部始終を見ていたのでした。しかし、かま猫は山猫の言葉を信
じません。あくる日かま猫が事務所にいってみるとみんなの態度は冷た
く厳しいものでした。自分の机も書類もなくなっているのを見て、悲し
みにくれるかま猫。そこへ山猫がどなりこんできました。「やっぱりな。
こんなことだろうと思ったぜ。・・・弱いものをいじめて給料もらって
どこが偉いんだ！」するとどうでしょうかま猫がみるみるうちに大きく
なって獅子になって、ガオーとほえると、壁をこわして山のかなたへ消
えてしまいました。黒猫も白猫も三毛猫も虎猫もがっくり。がれきの山
となった事務所を後に、山猫は汽車に乗って旅立ちました。第六事務所
は廃止になりました

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